元フロリダのディズニーキャスト・小池茉那さんが故郷・山梨で挑む、子どもたちの「自ら学び・自ら考える力」を共に育む教育の現場

山梨県東部に位置し、古くから城下町として栄えた都留市(つるし)。都留文科大学を擁し、全国から教員志望の学生が集まるこの街で、地域おこし協力隊として新しい教育の形を模索しているのが小池 茉那さんです。フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート、さらには東京オリンピック・パラリンピック組織委員会でのキャリアを経て、彼女がたどり着いたのは「故郷・山梨」での挑戦。世界を見てきた小池さんが、都留市で子どもたちの「知的好奇心」を育む拠点を担うまでの物語に迫りました。


ディズニー、五輪を経て再確認した「山梨」へのアイデンティティ

編集部:富士河口湖町のご出身だそうですね。ディズニーやオリンピック組織委員会など、非常に多彩なキャリアをお持ちです。

小池さん:はい。2025年4月に東京から山梨へUターン移住しました。大学時代はボストンへの留学や、内閣府の「世界青年の船」への参加を通して、多様な国籍の若者とリーダーシップを学んできました。卒業後はエンタメ系の総合職として全国を転勤し、念願だったアメリカ・フロリダのディズニーでのキャスト勤務も経験しました。帰国後はオリンピックの運営やインターナショナルスクールでの勤務など、常に「国際交流」と「教育」の現場に身を置いてきたんです。

編集部:そこから都留市の地域おこし協力隊へ至ったのは、どのような背景があったのでしょうか。

小池さん:外の世界を経験したからこそ、自分のルーツである山梨の魅力を伝えたいという想いが強くなりました。保育士資格を取得し、心理学やコーチングを通して「人の挑戦を後押ししたい」と考えていた時期に、都留市の教育ミッションと出会いました。これまでの点と点が、この街で教育系のファシリテーターとして活動することに繋がったと感じています。

世界規模のエンターテインメントから国際交流事業、そして保育士資格の取得まで。小池さんのキャリアの根底には常に「人間への深い関心」があります。大きな舞台を経験した彼女が、故郷の教育現場にその知見を還元することは、地域にとって計り知れない価値となるでしょう。


子どもたちが自ら問い、試行錯誤する場「つるラボ」の可能性

編集部:現在所属されている「つるラボ」では、具体的にどのような活動をされていますか。

小池さん:都留まなびの未来づくり推進機構(つるラボ)にて、教育系のファシリテーターとして探究学習プログラムの企画・運営をしています。プログラミングや動画編集、さらには地元の畑や森へ足を運ぶフィールドワークなど、内容は多岐にわたります。私が大切にしているのは、子どもたちが安心して「ここにいていい」と思える場づくりです。教えるのではなく、一人ひとりの可能性や強みがのびやかに発揮されるよう寄り添い、伴走することを心がけています。

編集部:集客や反響はいかがでしょうか。

小池さん:都留市は教育に関心の高い親御さんが多いです。教育委員会と連携した公式LINEでの案内などは反響が大きく、人気のプログラムは募集後すぐに満員になることもあります。子どもたちが「やってみたい!」と目を輝かせる姿を見ると、企画のしがいがありますね。

「教員の街」と呼ばれる都留市において、学校教育とはまた異なる「探究学習」の拠点を担う小池さん。自ら考え抜いた企画を、行政や民間企業と連携して形にするそのスピード感は、まさに地域おこし協力隊の理想形といえます。


「寛容な街」都留市で、多様な価値観を街に届ける

編集部:地元に近い都留市という街の雰囲気はいかがですか。

小池さん:すごく住みやすいです。大学がある街なので若い人が多く、地元の方々も「新しい人」が入ってくることに非常に寛容。チャレンジを後押ししてくれる温かい空気感がありますね。今は平日は都留市で活動しつつ、プライベートでは都内のコミュニティスペースで日替わり店長を務め、人と人がつながる居場所づくりも継続しています。そうした多様な活動で得た視点を、街の教育現場にも還元していきたいです。

編集部:大切にされている教育理念を教えてください。

小池さん:「自ら学び、自ら考える力を共に育む」ことがつるラボの指針です。先行き不透明な時代だからこそ、知的好奇心、合意形成力、表現力の3つを大切にしています。完成された答えを与えるのではなく、試行錯誤するプロセスそのものを楽しむ文化を、この都留市から発信していきたいです。

コーチングや居場所づくりの経験から、「安心感」が人の成長に不可欠であることを知っている小池さん。彼女の存在は、子どもたちだけでなく、教育の街・都留市そのものに新しい「寛容さ」というスパイスを加えてくれるに違いありません。


編集後記

フロリダの魔法の世界から、故郷・山梨の学びの現場へ。小池茉那さんのキャリアの変遷は、一見意外なようで、その中心には常に「人の可能性を信じ、居場所をつくる」という一貫した情熱がありました。都留市の伝統と、世界基準の視点が混ざり合う土壌で、彼女が蒔いた「探究」という種は、子どもたちの手によって鮮やかに芽吹き始めています。